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公益通報者保護法改正
改正公益通報者保護法が令和7年6月11日公布されました。
公益通報者保護法は、国民の生命・身体・財産などに影響する企業の不正行為を労働者からの通報によって明らかにし、かつ当該労働者を保護することを目的に2006年に施行されました。その実効性を高めるため、2020年に一部改正されましたが、2025年の改正では、内部告発を理由に解雇や懲戒処分を行った者に対して刑事罰が導入される等、通報者の保護がさらに強化され、体制整備の徹底と実効性の向上が図られています。
公布から1年半以内に施行されます。
改正法の主な内容
事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上
- 従業員数301人以上の事業者には、公益通報を受付け、対応する従事者の指定義務があります。この義務違反をした事業者が勧告等に従わない場合の命令権と命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)が設けられました。
- 労働者に対する事業者の公益通報対応体制の周知が義務付けられました。
公益通報者の範囲拡大
- 公益通報者の範囲に、事業者と業務委託関係にあるフリーランス(業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスを含む)が追加され、公益通報を理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取扱いが禁止されました。
公益通報を阻害する要因への対処
- 事業者が、労働者等に対し、正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意を求めること等、公益通報を妨げる行為をすることを禁止しました。これに違反してされた合意等の法律行為は、無効とされます。
- 事業者が、正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為をすることが禁止されました。
公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化
- 通報後1年以内の解雇又は懲戒は、公益通報を理由としてされたものと推定することとされました。
- 公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、両罰)が新設されました。 法人に対する法定刑は3,000万円以下の罰金とされました。
- 公益通報を理由とする一般職の国家公務員等に対する不利益な取扱いを禁止し、これに違反して分限免職又は懲戒処分をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)が新設されました。