「投資には興味はあるけれど、何となく怖い。」、「預金だけで十分ではないの?」
このように考えている方は少なくありません。
かつての日本では銀行や郵便局へ預金しておけば利息がつききました。1980年頃は年利が8%ほどあったので、約10年で資産が倍となりました。公的年金もこの時期は60歳から受給開始でしたが、1994年から2000年にかけて段階的に受給開始が65歳へ引き上げされました。また退職金も一定以上の額を準備している企業もそれなりにありましたので、それらを受け取りながら安心して老後を迎えられる時代が続いていました。
そのため資産形成といえば「貯蓄」が中心であり、「投資」は一部の人だけが行うものというイメージが根強く残っています。しかし現在はその前提が大きく変わっています。
少子高齢化による年金制度への影響、物価上昇(インフレ)、そして政府が進める「貯蓄から投資へ」という政策など、私たちを取り巻く環境はここ数年で大きく変化しました。
つまり「投資をするかどうか」を考える時代ではなく、「資産を守るために、どのような方法で資産形成を行うか」を考える時代へと移り変わってきているのです。
今回は、その背景について分かりやすく解説していきます。
また下記の動画でも分かりやすく解説していますので併せてご覧ください。
投資が必要な本当の理由~減っていく年金と老後2,000万円問題の真実~

目次
老後資金不足が話題になった「老後2,000万円問題」
「2,000万円不足」という数字だけが一人歩きした
2019年「老後2,000万円問題」が大きなニュースとなりました。
金融庁の報告書では平均的な高齢夫婦世帯では、公的年金だけでは毎月約5万5千円程度不足し、その状態が30年間続くと約2,000万円の資金が必要になるという試算が示されました。
当時は「老後に2,000万円必要」という数字だけが注目され、多くの方が不安を感じたことを覚えている方も多いでしょう。
しかし、本当に重要なのは「2,000万円」という金額ではありません。
大切なのは、公的年金だけでは十分な老後資金を準備することが難しい時代になった、という現実です。

公的年金はなくならない。でも十分とは言えない
「年金は将来なくなる」と心配される方もいます。しかし現在の制度を考えると、公的年金そのものが突然なくなる可能性は高くありません。
一方で少子高齢化が進む日本では現役世代が高齢者を支える「世代間扶養」の仕組みが年々厳しくなっています。
1990年代には約5人の現役世代で1人の高齢者を支えていましたが、現在では2人を下回る水準となり、現役世代の負担は大きく増加しています。
この状況では、
・保険料負担が増える
・年金給付水準が徐々に調整される
という流れは避けにくいと言えるでしょう。
つまり「年金だけで老後を暮らす」のではなく、「年金を土台として、自分自身でも資産を準備する」という考え方がこれからの時代には必要になります。

年金受給開始年齢がさらに引き上げられる可能性も
近年「70歳まで働く時代」という言葉を耳にする機会が増えました。実際、2021年には改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業には70歳までの就業機会を確保する努力義務が課されています。もちろん、これは「年金支給開始年齢が70歳になる」と決まったわけではありません。
しかし社会保障制度を維持するためには多くの人に長く働いてもらう必要があることは事実です。
今後の制度改正次第では、年金制度にも何らかの見直しが行われる可能性は十分考えられます。
だからこそ、「年金だけに頼る資産形成」ではなく、「自分でも資産を育てる仕組み」を早いうちから準備しておくことが重要なのです。
「100円」の価値は50年前と同じではない
インフレでお金の価値は少しずつ下がっている
近年、スーパーやコンビニで「また値上げしている」と感じることが増えたのではないでしょうか。これは「インフレ(物価上昇)」と呼ばれる現象です。
例えば、ポテトチップスを例に考えてみましょう。(図参照)
1975年には100円で90g入りの商品を購入できました。しかし現在は内容量が55~60グラム程度になり、同じ90g換算では約200円が必要になります。つまり同じ100円でも買える商品の量が半減しているのです。
これは、50年でお金の価値そのものが半分に下がっていることを意味します。
預金残高が100万円のままであっても、その100万円で購入できる商品やサービスは年々少なくなっていく可能性があります。

世界では「投資」が当たり前になっている
日本だけが「現金・預金」に偏っている
日本では「投資は怖い」「元本保証でなければ不安」と考える方が少なくありません。もちろん、生活防衛資金として一定の預金を持つことはとても重要です。しかし日本人は資産全体の多くを現金・預金で保有していることが特徴です。
一方、アメリカやイギリスでは、株式や投資信託などへ積極的に資産を配分する文化が根付いています。その結果、2000年から2020年までの約20年間で、家計金融資産はアメリカで約3.4倍、イギリスで約2.3倍となったのに対し、日本は約1.4倍にとどまっています。
もちろん、すべてが投資だけによる差ではありません。しかし「資産を増やす」という考え方が日本と欧米で大きく異なっていることは間違いありません。

さらに日本の家計金融資産の内訳を見ると現金・預金の割合が半分以上を占めています。低金利時代では預金だけでは資産はほとんど増えません。一方で、物価は少しずつ上昇しています。
つまり、「増えない資産」と「上がる物価」という状況が続けば、実質的な資産価値は目減りしてしまいます。
国も「貯蓄から投資へ」を推進している
NISAや企業型DCが拡充される理由
近年、NISAの制度改正や企業型DC・iDeCoの拡充が相次いでいます。これらは単なる税制優遇制度ではありません。
政府は「資産所得倍増プラン」の中で、「貯蓄から投資へ」という方針を明確に掲げています。これは、家計の金融資産を預金だけで保有するのではなく、投資を活用して資産形成を進めてもらいたいという考え方です。
つまりNISAは金融庁、企業型DCやiDeCoは厚生労働省が中心となって制度を整備していますが、どちらも共通しているのは「国民一人ひとりが資産形成に取り組む社会」を目指している点です。
高校では資産形成の授業が始まっている
既に2022年度から高校家庭科で「資産形成」が必修化されています。高卒ですと2025年度から既に、大卒でも2029年度から社会に出て働き始めます。彼らは
・投資信託とは何か
・株式とは何か
・分散投資とは何か
といった基礎知識を学んで社会へ出てきます。つまり、これからは「投資を知らない世代」ではなく、「投資を学んできた世代」が当たり前になっていくということです。企業としても従業員の金融リテラシー向上や福利厚生制度の充実が、採用や定着の面でますます重要になるでしょう。
初心者には「投資信託」が始めやすい理由
投資信託は専門家が運用する仕組み
「投資」と聞くと、株価を毎日確認し、売買のタイミングを考えるイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし資産形成を目的とした長期投資では、必ずしもそのような運用は必要ありません。
初心者にお勧めされることが多いのが「投資信託」です。投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を運用会社の専門家が株式や債券などに分散して投資・運用する金融商品です。1つの商品で複数の企業や資産へ投資できるため、リスクを分散しながら運用できるという特徴があります。

投資で大切なのは「分散」と「長期」
リスクを抑える分散投資
投資で最も避けたいのは、「一つの商品だけに集中してしまうこと」です。景気や企業業績は常に変化します。だからこそ、重要になってくる考え方が「分散投資」です。具体的に挙げていくと下記のように投資をするということです。
・複数の商品に分散する
・複数の国へ分散する
・時間を分散して積み立てる
投資信託自体が、複数の株をセットにした商品、複数の国の株をセットにした商品、などが主流となっています。企業型DCで選択できるのは、ほぼ投資信託ですので、この「分散投資」がすでに組み込まれている商品です。なお、毎月一定額を積立投資していること自体「時間を分散して積み立てる」要素に合致しています。

時間を味方につけることが資産形成のポイント
もう一つ重要なのが「長期投資」です。経済は短期的には上下を繰り返します。しかし長い期間で見ると、日本経済も世界経済も成長を続けてきました。そのため、10年、20年、30年という長い時間をかけて積み立てることで、価格変動の影響を受けにくくなり、複利効果も期待できます。
企業型DCやiDeCoは毎月積み立てを続けながら長期間運用する仕組みであるため、「長期・積立・分散」という資産形成の基本を自然に実践できる制度と言えるでしょう。

まとめ~これからの資産形成は「制度を活用する時代」~
これまで日本では「貯蓄」が資産形成の中心でした。しかし現在は下記4つの変化が同時進行で起こっています。
①老後資金不足への備え
②少子高齢化による年金制度の変化
③物価上昇による現金価値の低下
④国による「貯蓄から投資へ」の推進
こうした時代だからこ「投資は一部の人が行うもの」という考え方ではなく、「資産を守り、育てるための手段」として捉えることが大切です。
特に企業型DCやiDeCoは税制優遇を受けながら、長期・積立・分散という資産形成の基本を実践できる制度です。
もちろん投資には元本保証がなく、価格変動などのリスクもあります。しかし制度や商品の特徴を理解し、自分に合った方法で長期的に取り組むことで、そのリスクを抑えながら資産形成を進めることができます。
ロイヤル総研では企業型DCの制度導入支援だけでなく、加入後の継続投資教育にも力を入れています。
制度を導入して終わりではなく「従業員一人ひとりが制度を理解し、自信を持って資産形成に取り組めること」が、本当の意味で制度を活かすことにつながります。




