採用時における適切な情報収集について
①相談内容
入社時に提出いただく書類の見直しをご検討されている中で、既往歴等の健康情報を確認することが可能かどうかについてご相談をいただきました。
採用時に必要な健康状態や資格等の確認が十分に行われていない場合、入社後の業務遂行や人員配置に影響が生じる可能性もあることから、あらかじめ必要な情報を確認できるよう、入社時提出書類の整備を進めたいとのことでした。
また、既往歴を確認することの可否に加え、確認する場合の適切な方法や留意点についてもご質問をいただきました。
②争点
既往歴は、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」に該当するため、会社が取得する際には慎重な取扱いが求められます。
一方で、企業には採用の自由が認められており、業務遂行に必要な能力や適性、安全配慮の必要性等を確認する目的であれば、必要な範囲で情報を取得することも認められています。
そのため、
- 業務上の必要性がある場合に既往歴を確認できるか
- どのような内容まで確認することが適切か
- 情報を取得・管理する際にどのような点に配慮すべきか
が主な検討事項となります。
③解決内容
業務上の必要性が認められる場合には、既往歴を確認すること自体は可能と考えられます。
ただし、既往歴は特に慎重な取扱いが求められる情報であるため、
- 利用目的を事前に明確に伝えること
- 本人の同意を得たうえで取得すること
- 業務上必要な範囲に限って確認すること
- 取得後は適切に保管・管理すること
を社内ルールとして整理し、運用を統一しました。
また、病歴全般を把握することを目的とするのではなく、職務遂行上の配慮や安全確保に必要な事項に限定して確認する取扱いとしました。
さらに、健康状態に関する事項だけでなく、業務に必要な資格・免許についても、必要に応じて証明書類の提出を求める運用を整備し、採用時の情報収集について適切な確認体制を構築しました。
④社労士所感
採用時の段階で必要な情報を適切に確認しておくことは、入社後のミスマッチ防止や円滑な業務運営につながるものと考えます。
一方で、健康情報についてはプライバシーへの配慮が特に求められるため、「念のため確認する」という考え方ではなく、「業務上必要な配慮を行うため」という目的を明確にしたうえで取得することが大切です。
また、取得した情報の管理方法や閲覧できる担当者の範囲についてもあらかじめ整理しておくことで、より適切な運用が可能になると思われます。
入社時提出書類の見直しにあたっては、健康状態の確認だけでなく、資格・免許の保有状況についてもあわせて確認できる仕組みを整備することで、入社後のトラブル防止やスムーズな受入れに役立つものと考えます。




