雇用保険・社会保険関係書類の保存期間と起算日を整理したい
①相談内容
A社では、書棚の整理を進める中で、育児休業給付金の申請関係書類や算定基礎届、標準報酬月額決定通知書などの過去資料が蓄積しており、いつまで保存すべきか判断できないとのご相談がありました。
また、雇用保険・社会保険の資格取得関係書類をはじめ、各種届出書や通知書についても保存期間が曖昧なまま保管しており、「何年間保存するのか」だけでなく、「いつの時点から保存期間を数えるのか」についても整理したいとのご要望がありました。
②主な書類の保存期間と起算日
| 書類 | 保存期間の目安 | 起算日の考え方 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 申請関係書類 |
4年間 | 最後の育児休業給付金の支給決定・通知返戻など、 一連の給付手続きが完了した日 |
| 雇用保険の 被保険者関係書類 |
4年間 | 資格喪失に関するものは、原則として 資格喪失日(退職日の翌日)など |
| 算定基礎届・月額変更届 (会社控え) |
行政実務上 2年 実務上 3~5年を推奨 | 標準報酬月額が適用される期間の 最後の賃金支払日などを目安に管理 |
| 標準報酬月額決定通知書・ 改定通知書 |
実務上 3年 将来的には5年を推奨 | その標準報酬月額が適用された期間の 最後の賃金支払日 |
| 社会保険の資格取得届・ 資格喪失届等の会社控え |
行政実務上 2年 実務上 3~5年を推奨 | 届出手続きが完了した日、 または適用が終了した日 |
※保存期間や起算日は書類の種類によって異なります。 実際の廃棄にあたっては、関連書類の保存状況等も含めて確認することが重要です。
このように、雇用保険・社会保険関係書類は、すべてを「退職日から○年」「手続き完了から○年」と一律に管理できるものではなく、書類の種類によって保存期間と起算日の考え方が異なります。
また、法令・行政実務上の保存期間だけでなく、賃金台帳等の関連書類との整合性を考え、実務上は法定・行政実務上の期間より長めに保存しておくことが適切な書類もあります。
③解決内容
今回のご相談をきっかけに、A社が保管している雇用保険・社会保険・労務関係書類について、書類ごとの「保存期間」と「起算日」を整理した一覧表を作成しました。
一覧表には、育児休業給付金関係書類や資格取得・喪失関係書類だけでなく、算定基礎届、標準報酬月額決定通知書、労働保険料関係書類、賃金台帳・出勤簿などについても、保存期間と起算日の考え方をまとめました。
また、今後書類が再び蓄積しないよう、法令上の最低保存期間だけでなく、賃金関係書類との一体管理なども考慮し、社内で統一した保存・廃棄ルールを設けて運用することをご提案しました。
さらに、電子保存が可能な書類については、必要なときに速やかに画面表示・印刷できる状態を確保するなど、一定の要件を満たしたうえで、スキャンデータによる保存を活用する方法についてもご案内しました。
④社労士所感
雇用保険・社会保険・労務関係の書類は、種類が多いうえに、保存期間だけでなく、その期間をいつから数えるのかという「起算日」も書類によって異なります。 そのため、保存年数だけを把握していても、実際に書類を整理する際に「これはもう廃棄してよいのか」と迷ってしまうケースは少なくありません。
こうした書類を適切に管理するためには、「書類名・保存期間・起算日」をセットで一覧化しておくことが有効です。 また、法令上の最低保存期間だけでなく、賃金台帳などの関連書類との整合性や、将来の確認・トラブル対応も考慮して、自社としての保存期間を決めておくことも重要です。
書類が溜まってから一件ずつ判断するのではなく、あらかじめ保存・廃棄のルールを明確にし、必要に応じて電子保存も活用することで、日々の文書管理を効率化できます。専門家に相談しながら、自社に合った文書管理の仕組みを整備することをおすすめします。




